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温故知新=発想の転換

  

小久しくシヤッターが降りた侭つながるの商店街の端、一店のシャッターの前に午前10時20分(開店は平日にほぼ11時)という時間に、一般の奥さんや高齢のご婦人の多くの中に混じって、定年後の初老の男性方が混ざって列をなして並ぶ 「八百屋」 が開いた。
  
「ながいことお待たせしました」 と大きい声と笑顔で第一声。
  
ビールや日本酒の瓶ケースを台にして、平合板を置いた俄(にわか)作りの店で、店主はと言えば 「前垂れ」 を腰にビシッと締め、頭にはタオルで 「鉢巻き」 の、ひと昔前の八百屋のいでたちである。
  
野菜の単価表示に 48円・88円・98円・108円等の廉価を惑わす表示はなく、50円・80円・90円・100円・120円と、いたって切りの良い値付けである。
  
じっと観察していて分かった事だが

1. 釣銭と計算に簡単明瞭で素早く対応ができること
2. 概ねの野菜の種類の分け方が、一本とか一袋・一束か二束単位であること
3. 季節物の野菜と日常によく使われるものだけを取り揃えている
4. 野菜以外に果物も季節に合った極少種の品数の取り揃えである
5. ぐるっと見渡して見て観る 一際 どの商品を見ても新鮮である

何れも昨今の高齢化日常生活を営むのに 「買い残り」(無駄・ムラの排除意識)を意識した 「小分け」 であり 「切り分け」 した丁度 「ころあい」 の加減が、長蛇の列の根源である。
  
もうひとつの人気の根源は 「対面販売の妙」 である。
  
.お客様自身が籠(かご)に選んで入れた品々の精算を済ませる時に、亭主は一点ずつ大きな声で、「キャベツが一つ80円・たまねぎ一袋が40円・大根一本が90円」とお客様に確認するように身振り手振りを大きく(指差し確認と同じように)大きな電卓(縦23cm×横18cm)のボタンをタタキ、合計が終わると合計の画面をお客様に180度まわして(大きなデジタル数字を)お見せしてから、御代を頂くのである。 〈納得と安心を売りとして買って頂く〉
  
そしてお客様お一人おひとりに 「ありがとうございました、またどうぞよろしくおねがいします」 と腰を深く折って、丁寧に両手を前垂れの前に逆八の時に押さえて頭(こうべ)を垂れて礼を述べ、次の順番を待つお客様に 「お待たせして済みません」 と詫びを入れてから精算に入るのである。
  
ひとりのお客様に3回から4回述べるお礼の言葉は、語尾までハッキリと滑舌(かつぜつ)に澱み(よど)がなく、いたって爽やかな応対が続くのである。 〈謙虚さと笑顔の表情をオマケに付ける〉

亭主が出す釣銭の出し方は、お客様の手の平の下に、釣銭のこぼれを防ぐ意味であろう亭主の手の平が添えられて、其の仕草に 「人間らしい温か味」 が感じ取れる。

合理的に自由に陳列された侭の会話相手の居ない売り場で、商品を選択する買い物のスタイルと、対面販売の人間くささのある 「こころを感じる」 空間の存在は 「温もりと やさしさと こころの満足を買う」 形態の商いの有り様に清涼感とこころを充たされる爽やかさを享受したのである。

2010年2月10日 大谷 誠
  


 
 
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