A
さんにある朝、出社早々に二つの電話が入りました。
一つは予てから進めていた商談に、お得意様の役員決裁が下りたので 「発注するので即刻訪問してくれ」 の吉報でした。
その電話を受けた直後に、別のお得意様から 「発注した商品と違う商品が届いた、即刻引き取りに来い」 と大層な剣幕で激昂するクレームの内容でした。
Aさんは天国と地獄を一緒に背負わされた緊張と緊迫にオロオロするばかりで、対処の方法に苦慮し、思いあまって上司にその対応の方法を仰ぎました。
上司が即刻指示を出してくれた内容は、クレーム先を最優先に対応し、受注を下さるお客様には時間の猶予を頂戴出来るか、さもなくば時間猶予を戴きたい内容を率直に訴えて、ご了承を頂けるように対応する様に で どうしてもお待ち戴けないなら、上司が代わってお邪魔することの了承を頂く様に・・・の指示でした。
Aさんは勇気を振り絞り吉報先へ上司の指示通りお願いを電話で率直にお伝えすることで何とか了承を頂き、クレーム先への対応に走りました。
クレーム先では即刻訪問対応したこととAさんの顔を見た上でのことか、電話での激昂よりは平静を取り戻したカタチの応酬話法になり、丁重に謝罪し返品を受ける事で了承が得られ、その場から上司に報告の後吉報先へ急いだ。
吉報先では発注書を戴く時にこんな言葉を戴きました。
「ウチの時にもクレーム発生の時は最優先に頼みますよ・・・」 でした。
吉凶いずれのお客様にも救われた思い一杯で 「営業冥利」 のメモリーデーでした。
2011年6月6日 大谷 誠
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