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【企業文化が最大の競争力】

  
「活き活き企業文化を創ろう会」 村井貞雄
    



1.人の能力や活力が、企業の競争力を決める


古くは1960年に、アメリカ人・カッペルが組織運営論で 「成長力のカギは活力ある人材が育つか否かにかかっている」 「活力とは、苦難に耐える能力、創造的で進取的な行動、強い倫理的責任感を通して、人びとが発揮するものである」と言っている。

2000年には全米科学アカデミーが、製造業のあり方に関する調査報告書を発表した。
   
「人の能力や活力が、企業の競争力を決める。そして、製品や製法などより他社から キャッチアップがむつかしいのは 『人びとの能力・気概』 である」 と指摘した。

2006年早々に、〈人材・組織論の金字塔〉 と言われるアメリカのビジネス書が日本でも出版され、話題になっている。ウォートン経営戦略シリーズ 「熱狂する社員」 である。
  
世界250万人の現場の声を調査し、ベースにして、 “働く喜びのある企業が生き残る” と断言している。
   
そして、企業競争力を決定する人びとのやる気・モチベーションに必要な3要素として 「公平感」 「達成感」 「連帯感」 をあげ、日本ではやりの成果主義などは全く否定的です。

    

2.いま、日本では 「悲惨な職場」 になってはいないか

ここ10数年、バブル崩壊後の日本では、リストラが推進され、報酬制度への成果主義の導入、効率・利益至上主義の蔓延、そして長時間労働の常態化、低賃金の派遣社員やアルバイトの急増などが多くの企業で進んでいる。
    
これらが、人びとの生活不安、ストレス蓄積や利己主義などの精神的退廃をきたしていないだろうか。
   
いまの仕事に無気力な若者が75%という調査結果もある。
  
とにかく、無理は続かないのです。
  
人びとに無理のある組織は必ず疲弊します。
  
そんな企業は永続できないのです。

    

3.企業は人間的な 「文化資本経営」 を求められている
     
<資生堂会長・福原義春著「文化資本の経営」より>
    
それは、人びとの心身を豊かにする文化であり、人びとの様々な個性や価値観、生き様を尊重する文化であり、キビシクとも、楽しく仕事をする文化です。
    
そして、とりまくすべての人びと・会社と WIN-WIN、共創進化を願う文化です。
   
このような文化を価値ある資本とみなす経営を 「文化資本経営」 という。
     
これに対して、利益や効率至上主義である 「経済資本経営」 を声高に唱える会社は、 いずれ廃れます。


4.まずは、企業存続・成長の目的は何か、を明確にすべきです

企業の基本的な命題は 「永続性」 ですが、それは何のため、誰のためでしょうか。
  
会社の目的を、会社の理念として明確にするのが、社員の 「やる気」 醸成の原点です。
   
大抵のいい会社は 「三方よし」 で 

 @ 従業員とその家族 

 A 取引先 

 B お客さま
   
のステークホルダーのためとしている。日米欧ともほとんど同じである。
   
しかし、このような、真の企業目的が明確でなく、アイマイな会社が実に多いのです。

     

5.人びとの情熱をかきたてる、経営理念・ビジョンのあり方      

優れたリーダーシップは、権力ではなく、人を突き動かさずにはおかない、最上のビジョンとゴールから生まれる。
   
そしてその基本・前提である 「企業の目的」 が明確で、信頼できて人びとを駆り立てるものでなくてはならない。
   
会社側の公然たる金儲け第一主義は、忠誠心を萎えさせる。
    
会社の利益確保も、社員のプライドの大切な源泉だが、真に大切なプライドは金銭を超えた 「倫理性の高い」 「徳を失わない」 ところに源がある。

利益を超えるビジョンを示す 「ビジョナリー・カンパニー」 の理念(コア・イデオロギー)は、株主志向でなく、他のすべてのステークホルダー(顧客、取引先、社員、地域社会など)に対し、徳のある配慮がされている。
    

    
利益至上・競争搾取の 「経済資本経営」 の会社は、いずれ廃れる。

トップが、共創進化、感謝と信頼の 「文化資本経営」 を掲げ、率先垂範すれば、人びとは燃え、会社が永続する。
  

3M 誠実に徹する。
   
GE 技術と革新により、人びとの生活の質を向上させる。
  
HP われわれは貢献する企業として存在している。社員を大切にし、機会を与える。
  
    活動する地域社会に貢献し、責任を果たす。
   
IBM 従業員を大切にする。顧客を満足させるためには時を惜しまず最善をつくす。
   
J&J 当社は「痛みと病気を軽くするために」存在する。われわれの責任には序列がある。
  
    1番目は顧客、2番目は従業員、3番目は社会、そして株主は4番目である。
    
堀場製作所 「おもしろ、おかしく」 
   
従業員が仕事をするのが生きがいになるようにしたい。
   
伊那食品工業 「いい会社をつくりましょう」 
    
とりまくすべての人びとに 「いい会社だね」 と云っていただくようにします。「いい会社」 は自分たちも含むすべての人びとをハッピーにします。
   
伊藤忠 「Challenge(挑戦) Create(創造) Commit(責任)」
   

倫理性が高い会社、そしてSCR(企業の社会的責任)について

「成長と高収益化を狙う」 とか、「安定・堅実に成長する企業をめざす」 などと、利益第一主義を掲げている会社も多い。
    
それらの会社でも多くは、企業としての倫理性を高めるとして、CSR活動を進めてはいるが、別物的、付けたし的な感じをいなめない。
    
これら企業では、利益優先のため、組織末端などで不祥事を発生させている状況がある。
   
金銭至上の成果主義も同じく危ない。 本質的に、日欧米でも 「倫理性(企業文化レベル)の高い」 ビジョナリー・カンパニーの業績が長期的にすぐれているのである。
   
そして、これらの企業では、CSRの取り組みはビジョンに包含され、企業文化や実務に落とし込まれている。
    
よって、あえてCSRを取り上げる必要さえないのである。

引用・参考文献  デビット・シロタほか著 「熱狂する社員」 ウォートン経営戦略シリーズ
  
2006.07(2011.3改訂)

 

 
 
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