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時(とき)泥棒

  昨今何事においても 「ヒト・モノ・カネ」 の有り様が、合理的な社会になってきて、其の功罪が節々(ふしぶし)に現われて苛立ちをおぼえる。
 とりわけ事前にアポイント(事前に面会の約束や予約をとることで正しくはアポインドメント)なしに訪問を受けることには閉口させられる。
 「親しき仲にも礼儀あり」 の諺どおり、不意の訪問を受けたりすると、仕事を強制的に中断させられるのは其の最たるもので、携帯電話が普及して便利にはなったものの、相手の日常の時間に土足でズカズカ踏み込んで着信があるのと無断訪問とは同等の罪と言っても過言でない。
 公私の別なく他人の家や事務所に訪問する時には、事前に相手方の都合を打診して訪問するのが礼儀であり基本中の基本である。
 これは何も今更の礼儀ではなく古い時代からの作法で、特に一般庶民にまでそれが浸透したのは、江戸時代から営々と続いて来た礼儀であり作法である。
 『商人道 「江戸しぐさ」 の知恵袋』(越川禮子著)に、お互いの商いに支障が出ないようにお互いが相手を思んばかって、無闇やたらに断りもなく相手方へ唐突に訪問する事を戒めた(厳しく禁じた)。
 当時の江戸商人は金銭は借りてもあとで返せるが、過ぎた時間は取り返しがつかない。時泥棒は弁済不能の十両の罪と言われ、訪ねるときは事前に書き付けを送って了承を得た・・・と 「訪問しぐさ(仕草)」 にある。
 親交の浅い深かいにかかわらず、お互いがお互いに与えられた時を円満に共有し活用していくのは現代も昔も変わりのない 「商人道」 であり 「人間道」 でありたいものである。

2012年10月15日 大谷 誠 


  


 
 
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