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《終わった人》

 

専門学校を卒業後43年間、「二君に仕えず(一つの会社に誠実に勤め上げ、他社に見向きもせずに)」と しゃかりきになって仕事一筋、私生活は二の次三の次と、ひたすら会社の為、業績を上げて、会社に貢献する事だけをに 尽くして勤めて来たが、同期の中には取締役員になつた奴も居て、何であいつが役員になるの・・・?  俺の方があいつの何倍もの実績も会社への貢献も倍して上げてきたのに・・・? 
何であいつが役員になつて、俺が何で部長職どまりで、定年勧告を受けなあかんねん・・・?
会社は非情なもんで、「寄って来る犬ほど可愛い・・・」の例に洩れず、あんな奴がいまだに大きな顔をして 会社の役員席で居て、今の俺は「毎日サンデー」で居る。
つまるところ、会社は「人の代えは幾らでもいる」と冷酷な人事判断をするのも事実である。
結局は「尽くした俺が馬鹿だった・・・」の年金生活者の愚痴になるのか、何と世間には多い事か。
在職中から第三者団体に首を突っ込んでいた腐れ縁が、退職後も3か月に一度の例会があって、その例会の幹事が、例会終了後俺に小声で囁いて「○○さん恐れ入りますが、年内の定期例会を区切りに、後進に道を譲って頂きたい・・・」と言う。
そこで俺は其の幹事に即答してやった・・・「年内では無くて、次回例会を以て 勇退させて頂きますよ・・・」
それを聞いた幹事は顔色を変えて・・・「何もそんなに性急な事ではなくて、年内はどうぞ゜このままで・・・」
俺はその場で踵(きびす)を反し「長らくお世話になりました、私は『終わった人』ですから」と背を向けてその場を後にした。
帰る道々 俺は己の頬のゆるみを抑えかねて 思わず「終わった人なんだぁ」と傍目を気にすることなく、両手を天に突き上げて大声で叫んだ。
何と爽快な気分か。 そうだ 俺は 終わった人なんだ・・・と、変に素直な自分に戻れた。

平成28年5月29日 日曜日 大谷 誠  

 

 


  


 
 
 
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